うっかりエルメスで買い物をしてしまった

と言っても自分用にバーキンを買ったとかじゃなくて、お客様へのお土産用にネクタイを買った。とかそんなような用事。

エルメスで自分のために何かを買うなんてことは、日本ではやったことない。
海外でもお高いバッグとかはとても買えないから、せいぜいカレ(正方形のスカーフ)を買う程度。

なので、エルメスのあのオレンジ色のショッパーを持って歩くのは久しぶりのことだった。

さて、困った。

ちょっと無計画な買い物だったので、オレンジのショッパーを持て余している。

 

これが「よし、今日はエルメスで買い物するぞ!」と気合を入れていた日で、あのやたらと存在感のあるオレンジ色の紙袋を持って歩くことを想定していたのなら、何の問題もない。
エルメス店内をドヤ顔で歩き回るのに耐えうるだけの髪型と服装をしていただろうし、オレンジ色の紙袋を持って入っても何ら不自然ではないちょっと小洒落たレストランへ行く算段を立てていたハズだ。

だが、あいにくその日は「ま、今日は下見だけかな」程度の腹積もりだったので、かなりテキトーな格好でエルメスに行ってしまった。

ユニクロのニットとユニクロのダウン。それにクシャッとひっつめただけの髪と、仕事用の眼鏡。
ジーンズはアルマーニだけど、パッと見てアルマーニだと分かる人はそうそう居るまいよ。ワタシがアルマーニに相応しからぬオバチャン体型なので仕方がない。
かろうじて、ブーツとバッグがグッチだったから「エルメスに入っちゃってもいいかな~」と判断した。これがボロボロのスニーカーだったら日を改めたに違いない。

んで、下見のつもりが良いモノを見つけてしまったので、即お買い上げしたという次第です。

なので、パッと見「全身ユニクロのボサボサ頭のオバサン(ただしブーツだけは恐ろしく美しい)」がエルメスのオレンジ色のショッパーを持つ羽目になったわけで、このオレンジ色が激しく浮いた。
まるで大日本帝国陸軍の歩兵がSDM-Rを持ち歩いているかのような違和感。
こんなことなら、パリのマドレーヌ寺院の裏のカフェでお茶していてもおかしくないようなマダム風の格好をしてこればよかった。それならエルメスだろうとブルガリだろうと浮かなかっただろうに。

 

オレンジ色のショッパーを持っていて落ち着かないなら、真っ直ぐ家に帰ればいい。

のだけど、エルメスに寄ったのが衝動的だったので、ワタシはそのときお腹が空いていた。
昼前に街をフラフラしていて、そろそろ何か食べよっかなーと思っているときにエルメスの前を通って、そういやアレを買わなきゃいけないからちょっと見てみよっかなーてなカンジに行動していたものでね。
そのまま帰宅して、家で何かを作るには腹が減り過ぎていたのだ。

 

さて、困った。

エルメスで買い物をする前から腹が減っていたのだから、今は井之頭五郎並みにお腹が空いている。
スタバでサンドイッチを齧るとかではワタシの心は満たされない。もっとガツンと食事らしい食事をしたい。

だからと言ってビストロでアンティパストからセコンドまで食べるような気分でもない。もっとサッと出てきて、さくっと食べられるような、気楽なランチでいい。

かと言って、マクドナルドとかそういう店には入りづらい。
だってワタシの手にはエルメスがあるんですもの。

 

一体誰がエルメスの紙袋を持ってマクドに入るというのだ。

100円コーヒーで喜ぶ若者がうぇーいってやってる横で、100万円のバッグが入っているかもしれない(入ってないけど)オレンジ色のショッパーをぶら下げるワケ? そりゃいくら何でも場違いってもんでしょう。

じゃあもうテキトーにコンビニに入って弁当でも調達すりゃいいじゃん、とも思ったけど、エルメスの紙袋を持って100円おにぎりを買うのもゾッとしない。

ああ、こんなことならもっとデカいバッグを持ってきて、オレンジ色の紙袋をそこにブチ込んでやればよかった!

 

という自意識過剰なことをぐるぐる考えていたら、なかなかランチを決められなくて往生した。
いやー、エルメスの紙袋、破壊力があり過ぎますわ。
多分、ワタシの自意識が破壊的なだけなんだけど。

 

結局ランチはどうしたかと言うと、オシャレスーパーの中のイートインコーナーでニンニクとチキンのパスタを食べた。
美味しかったです。

 

Pen(ペン) 2017年 2/15号 [エルメスの秘密。]

Pen(ペン) 2017年 2/15号 [エルメスの秘密。]